和綴じ製本(2)高貴綴じの魅力について

高貴綴じ

日本では、紙をまとめる方法としてバランスが良く、強度も高いことから、一般的に「四つ目綴じ」と呼ばれる四つの穴を使って綴じる方法が広く用いられています。この方法は、古くから多くの人々に親しまれてきました。

ところが、中国の清朝時代に君臨した康熙帝(こうきてい)という皇帝は、この「四つ目綴じ」に一工夫を加えた独自の綴じ方を好んでいました。

彼は、四つの穴の上下にさらにもう一つずつ穴をあけて、合計六つの穴で綴じる方法を美的なものと感じていたのです。

この綴じ方によって本の見た目が三角形のように美しく整えられ、より一層の優雅さを醸し出していました。

この康熙帝の独自の綴じ方は、日本にも伝わり、彼の名前に由来して「康熙(こうき)綴じ」と呼ばれるようになりました。

さらに日本では、康熙帝が好んだこの綴じ方を高貴なものと見なし、「高貴綴じ」という名前で広く知られるようになったのです。

「高貴綴じ」は、見た目の美しさだけでなく、その技術の難しさからも特別なものとされていました。

そのため、一般的な書物にはあまり用いられることはありませんでしたが、皇室に関係する重要な書物や非常に価値の高い本など、特別な意味を持つ書物にはこの「高貴綴じ」が施されることが多かったのです。

現在でも、歴史的な書物や文化財として保存されている本の中には、この「高貴綴じ」が見られることがあります。

 

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更新:2024年06月02日